音個の速度 一瞬の連続の一生(Web連載版) 第五回

 僕としたことが、前回の文章の中で、非常に小賢しいことをやっている。そのとおり!

「おれ」、というのは僕ではない。お解りの通り、つまり、そう、音個だ。しかし、使った。わかるか、この、小賢しさ。

 「おれ」。一人称においてだけ、我々にはみえてこない、この音個の狂気が垣間見えてきそうな気がした。僕に彼の狂気を見ることも語ることも、モデル不在の意味において不可能だ。だから、語る人物を、つまり、語り口のパースペクティブを変化させた。「おれ」という彼の内観に語らせることにおいてのみ、そのことによってだけ共有される可能性が引き出される。感情移入と一体感を覚醒させる試み! 手法! ただ、それは、かなしい手法だ。それはただ、書物のなか、あるいはもっと残酷に、「技法の中でだけ共有される」、外に出ることはゆるされてはいない、そんな、ライヴ、いうなれば、ライヴ! その共感作用。…とことんどこまでも、かなしいおとこ、だ。僕は構わず見捨てておきたい。

 でもまあ、全く効果もなかったようなので、白状しておこうと思う。と、同時にきっぱり、ここでそれを断っておく。

 だから最初に言っておいただろ、僕もアーティストのはしくれだ、と。そう、そうだ、全て、僕の創作、です。というかこのあたりは全て、

僕の創作による!

ですから、幻覚か人違いでしょう。

まったく、気にしなくていい!

 が、このあたりから、音個も目が覚めた、ということか、記憶がうっすらとだが、あり出すのもまた、辛いこと、でございます。

そう、書いてある! 獄中記、というタイトルもまた大げさな(たかが拘留くらいでなにが「獄中記」だ、わらってしまうね!)、しかし、真剣にずっと、こればかり書いてたらしい、書いてる、その獄中記とやらに! もうしばらく当日のことになるが、とばしてよむのも、この本に限っては、それもありや、今夜だけそれもありや。ささ、急ごう、いや! 急ぐ必要もないんだった。

でも、さあ!早く!さあ、続きを!

Must shows Go ON!

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大勢の人々がこの「キチガイの演じる白昼夢」とでもいいたい、茶番を眺めていた。呆れはてて、警察がどう動くかを、それをしっかり見ていたはずだ。さっき殴り倒したての一般人は、それほどでもなかったので、すっかり起き上がって、まだ、一般人でもゲンタイ(現行犯逮捕)はできるはずや、とか、

終わった話題

にしがみついている。

 後に聞いた話のようだが、巡査どもを怒らせたかったら、そのために一番いいのが、この「令状もってこい」と、余裕かますこと、なんだそうだ。一応、戻って令状を発行するということはすぐにできるみたいだ。しかし、それをやらなかった。既にカバンなんてズタボロの状態で開かれていた。一目瞭然、というやつだ。でも、音個は「はよもってこい、それからどこでもいったるわ」と、なんと、まだ笑っていた。たぶん、人だかりを前にして「パフォーマンス」かなにかのつもりだったんだと思う。しかし、既に数人にケガを負わされて、たっていたのだ、そこまで余裕ではなかったと思う。

 あきてきた、というのも、あった。めんどくさくなった、ともいえた。この程度でいいか、そんな気もした。だから、「とりあえず、もうええわ。かけろや」と、音個が手錠をかけやすくするために、両腕を前方に差し出そうとする、そのとき! 警官が、いきなり音個の背後に、警官がふたり、回り込んでいきなり、一人一本ずつ、音個の腕を掴み、音個が、なんのつもりや、と問いただす、その瞬間! 後ろ手に、思い切りその掴んだ腕を上へと、容赦なくひねり上げた。そして、おい! と、音個がそう言った、声になるかならぬかの一瞬に、さらにもう一度、雨で濡れたアスファルトの上に叩きつけたのだ。

音個は…、這いつくばりながら、そうだ、這いつくばった、惨めに、アスファルトを、這いつくばった。

 音個は、「おい、まておい!なんのつもりじゃ」といった、それを黙らせるために、警官らがやったことを、ありのまま書く。目撃者もいっぱいいる。なにより、最初の店員が、全て最後まで見ていた。音個もその最初に倒された時だけは笑っていなかったんじゃないかな、と思う。いいか、警官が彼に対してなにをやったか、

三人がかりで、手錠をかけられながら、アスファルト上を這い蹲らせられ転偈回されつつ、おい! という、音個。彼を黙らせるためだ、あの、鉄板の仕込まれた安全ブーツで、足、腰、背中を蹴りまわし、その後に「だまれ」といって

頭を踏みつけたのだ!

 やじうまたちは、言葉をなくして、ただもう、見ていた。なにがおこってるんですか。というふうだった。さらに、令状云々への報復は続いた。その人だかりの方に向かって、決定的な、これまた、おかしなことを、たぶん、やじうまの証言が邪魔だと思ったんだろう。こう言いやがった、と書いてある。

「ける、殴る、まったくなかったね!?はい、OK!」…。

 僕はチキン野郎だ、だから、念の為に付け加えておこう。「日本国憲法第36条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」…。

 パトカーで音個を連行させるべく、その一部始終の攻撃が止まるのをこらえ、その瞬間を待ち、音個はすぐに立ち上がって、そして、なんと、ここにきてまた、

なんと、笑っている!

おまけに、警官どもにいいはなった言葉が、

「おまえら、勃起してるやろ!」

なのであった。そして続ける。

「お前らがいま、おれにやったとこやんけ! ふざけんなおい! ふんっ、でもこれでわかったやろ、こいつら、日本の、これが警察や。単なる暴力団やんけ。サクラダモン!」

さらに続ける、

「で、ここまでやったからには、令状はもってくるんやろな、ちゃんと。もってこいよ、おい?」

 もはや、暴力のみでこの音個を屈服させることは、不可能なのだ。もう、十年以上もの闘病生活にて、完全に開き直った、そしてもう相当にひねくれた人間になっていて、それは火に油を注ぎながら、キチガイにハモノを手渡すようなものだ。

慌てて、警官はやじうまに聞かせるように、大声で、人だかりに向けて、こう言った。

「お前が抵抗するからじゃ!」

「はあ? いつ、おれがおまえらになんかしたかおい。絶対やめさせたるわ、おまえら」

「どっからどう見ても、おれは自ら手錠をはめやすいように、両手を差し出したぞ」。みてるやんけ、みんなが。と、いわなかったが、そう思った。警官らは、ここまできたら、こいつに喋らせてはいけない、と言わんばかりに、三人がかりでパトカーのなかに押し込むつもりであった。不愉快だ。ここまで、不愉快にさせられたからには、同程度、すくなくとも、同程度に不快にさせる必要がある。

 とりあえず、ふ、と嘲笑いながら、自ら、パトカーの後部座席中央を陣取る。バックミラーにしっかりと、おれの一番得意な、微笑、…何も見ていない、しかし、片側の頬だけで、笑いを作る、それを固定させてみせ続ける。

「おいこら、ポリ。おまえじゃ、余裕こいてる場合か。ほんまにしらんぞ、おい。普通はこれで大人しくなっていくもんか?で、先言ってた、抵抗ってなんのことじゃ」

「力がはいってたら、抵抗になるんじゃ、勉強してこい!」

「じゃあ、状況的にはおれに、公務執行妨害もつけくわわるよな?当然」

「あとな、おれもいまよくわからんが、憲法、ってあるやんけ、たしかそれに違反してないか? …あとで調べとくわ。憲法いうたら確か、警察がまっさきに「尊守」して手本見せなあかんのちゃうん?(「尊守」は「遵守」というのだがこの時、音個は「尊守」という言葉だと思い込んでいたために警察官に対してもそういった。きっと字が似ているためだろう)」少し、笑いを大きくする。「たしか、権力者がそれを乱用悪用できないように、さだめてあったような気がする」といってから、斜めに目線をあげて運転手の警官を見た。

「なあ、おっさん、どうやねん。おまえらのやったことじゃ」。音個の左座席には新入りと思しき、一番若い、学生といっても通じそうな警官が震えていた。「おい、にいちゃん、どう、おもうねん」やっぱり、ブルブル震えていた。たぶん、初めてのケースだったのだろう、何も言えなくなっていた。すぐに右隣に、話を振る。「おまえ、おい、おまえ、名前は? 自信があったら、それくらい名乗ってみろ」

「なんでそんなこと、お前に言わなあかんのじゃ!じゃあ、お前の名前…」、…と最後までは言わせず、「山崎や。だからおまえは?」…答えない。おわってるな、こいつら。ま、どこでも連れてけ。と思った瞬間、完全に余裕をなくした運転座席の警官が音個に対していった言葉を、一言たがわず、記して、この物騒な現場を、あとにしよう、責任能力なし、を、やりたい放題やっといて(僕からすれば、音個も十分やりたい放題なきがするが!)叫んでのけたのだ。

「もうだまっとれ!このキチガイが!一生豚箱はいっとれ!」

音個はとりあえず、噴き出さずにはいられなかった。

「あーゆってくれたなそれ、思うツボやんけ。というか、あんだけやっといて、責任能力なしを認めてくれる、って、おまえ、相当やめたいんか」ま、あわてんなや。十年はみこしとけ。そう思った頃に、そのパトカーは所轄についた。先程までの音個の作り笑いは、いまでは、作り物ではなくなっていた。あいてがわるかった、と、僕は思う。それに、…目撃者が多すぎた。

それでも、街の平和は、しっかり任せた! がんばって! おまわりさん!

いつだって僕はおまわりさんの味方です!

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混沌コントロール・山﨑雅之介

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混沌コントロール

1978年兵庫県尼崎市生まれ。作曲家、著作者、愚か者。政治活動結社「医療大麻開放党」(元「大麻自由党」)代表。IQ65 。  生まれ持ってのADHD患者であることが、誤診16年を経て判明したが、挙句、様々な薬物中毒に陥る。現在の日本の、特に精神医療に対して激しい怒りを持っている。これからも、持ち続ける。  と、思っていたが、2019年1月8日、捜査、及び、化学(科学)的根拠、令状文、また本人の自覚にかなり疑わしき部分が残る事情をもって「覚せい剤取締法違反」に問われ逮捕される。  およそ5ヶ月の勾留を経て、服薬量が大幅に回復(およそ十分の一の量にまでに減薬)。それでも、現在も、こりずに薬物問題に向き合っている。  その他、前科前歴多数。その殆どが間抜けな不注意によるもの。  バンド(地獄の一丁目)活動を経てバンド仲間から絶交される(実質見捨てられる形)にいたり、現在、アーティスト名を「混沌コントロール」と名乗り、「まったくライヴ活動をせずインターネット上だけで(つまりこの部屋から一歩も出ず…)世界を制覇してみせる」と断言。  2014年、本邦において初の動きとして創立に及ぶ政治活動結社「大麻自由党」が中国華僑新聞等のメディアにて世界的に着目を浴びたが、日本においてはその性質上メディアが全く動けず無視され続けるが、今後の展開が期待を孕む。(Wikipedia参照)  さらに2014年、CNNにて、その演奏姿が全世界に放映されるに至り、ひとまずは、宣言通りの野 望、その入り口にたどり着く。これから更に精進いたします。http://www.youtube.com/watch?v=1ExUt6i0boM&list=UUedHp6KcvCTPn-vEkXm8GwQ 混沌コントロール公式サイト(CTRL Global Label) http://konton-control.com/ 混沌コントロールサウンドクラウド https://soundcloud.com/konton-control https://soundcloud.com/konton-ctrl 混沌コントロールYoutubeチャンネル http://www.youtube.com/user/kontoncontrol 「この部屋から一歩も出ず、世界制覇」などと書いてはいたが、2013年5月頃、孤独死寸前の状況下において、拘留を受けたため、家賃が払えず、結局、部屋を追い出される。およそ、このあたりがその人生の第一部、完。  ミュージシャンとしての夢は、ゴールドディスクをいつか手にしてみせる!ということであるが、こないだ、すっかり更新忘れてて、 ゴールド免許さえ取得できなくなった のが、実際のところ。  2019年6月現在、フリーランス、在野において作曲、アレンジ、サウンドクリエーターの仕事を請け負っている。  さらに!現在、自伝をもとにした大長編作文小説執筆中。つづきは出版本で!詳しくは出版本で!!

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